SP処理Oリング

数ミクロンのコーティングで組み付け時の作業性を向上

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特長

  1. 低摩擦表面を形成するため、潤滑剤(挿入助剤)を使わずに、低荷重でOリングを組み込みできます。
  2. 異物が付着しにくく、潤滑剤(挿入助剤)も不要なことから、リーク検査精度の向上に貢献します。
  3. Oリング同士の粘着を防止でき、自動供給装置(パーツフィーダー等)での取扱いが容易です。
  4. 潤滑剤(挿入助剤)飛散による現場環境悪化の防止に貢献します。
  5. 静電気を帯びにくくなるため、静電気を嫌う環境で使用できます。


特性

作業性の向上、現場のクリーン化を実現

Oリングは、断面がO形(円形)の環状のパッキンです。
一般的に、Oリングは溝部へ装着して、適度に圧縮させ、油、水、空気、ガスなど、多種多様な流体の漏れを防ぎます。長寿命、耐熱性、低温性、耐油性など、さまざまな機能が求められ、その要求は年々高まっています。
一方、組み付け工程では、生産効率向上を目的とした自動組み付けが主流となり、加えて現場環境のクリーン化を目的とした組付け用潤滑剤(挿入助剤)塗布廃止のニーズも高まっています。

薄膜表面処理Oリング(SP処理Oリング)は、表面処理剤とゴム表面を化学的に反応させ、Oリング表面に極薄膜の非粘着層および低摩擦表面を形成させたものです。本来のOリング特性を維持しながら、潤滑剤(挿入助剤)レスでの挿入組み付けが可能です。これにより、作業性の向上、現場のクリーン化を実現することができます。


なお、薄膜表面処理Oリング(SP処理Oリング)のコーティング層は無色透明で、数ミクロン(μm)と非常に薄いもので、表面処理の有無でゴム材質の物性差異はありません。また、表面処理は熱老化後、浸せき後でも低摩擦特性を維持します。
※ベースのOリング表面には梨地処理が必要です。


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左図:薄膜表面処理Oリング(SP処理Oリング)は粘着しない、右図:一般的なOリングは粘着しやすい

適用メリット

薄膜表面処理Oリングは、潤滑剤(挿入助剤)を使わずに、低荷重でOリングの組み込みが可能になります。また、異物が付着しにくく、潤滑剤(挿入助剤)も不要なことから、リーク検査精度の向上や現場環境悪化の防止に貢献します。この特長から、Oリング同士の粘着が防止でき、自動供給装置(パーツフィーダー等)での取扱いが容易になります。さらに、静電気を帯びにくくなるため、静電気を嫌う環境でも使用いただけます。


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評価試験

挿入抵抗力測定試験

薄膜表面処理(SP処理)の有無における挿入抵抗をロードセルを使い評価を行いました。ピストンにOリングを装着し、ハウジングに挿入させ、挿入抵抗を測定したところ、表面処理(SP処理)無しの挿入抵抗は67Nであるのに対し、表面処理(SP処理)有りは約70%低減の22Nでした。このことから、薄膜表面処理Oリングは、潤滑剤(挿入助剤)を使わずに、低荷重で組み込みが可能になります。


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採用イメージ

薄膜表面処理Oリングは、挿入および組み付け性が向上するため、防水携帯端末や自動車業界、半導体製造装置、車載カメラなどで採用されています。


  • 防水携帯端末
    • 電池フタ部
    • 充電口部
    • イヤフォンジャック
  • 自動車業界
    • 燃料噴射装置
    • 燃料ポンプ
    • 配管継手
  • 半導体製造装置
  • 車載カメラ
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携帯電話
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燃料噴射装置
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半導体製造装置
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車載カメラ

製品ラインアップ

用途に合わせた5つの「Le-μ’s」(レミューズ)

低フリクション技術を活かしたシール製品を紹介します。