特長
- しゅう動面にシール媒体である油を供給するテクスチャ形状を付与することで、大幅な低フリクションを実現します。
- 油圧回路内の回転部で油圧を保持しながら、フリクションロスも低減します。
- しゅう動面の油膜形成により、耐久性も向上します。
「Le-μ's」、「TS-Ring」はNOKの登録商標です。(商標登録5836970号、5875477号、6232233号)
特性
回転用低トルクシールリング「TS-Ring」は、側面にテクスチャを付与することで、テクスチャ部への積極的な油の導入を行います。また、テーパーランドの楔(クサビ)作用で、動圧(負荷容量)による油膜を形成することで、低トルク化を図ります。
回転用低トルクシールリングの全体イメージ
テクスチャ形状の拡大イメージ

解析結果からもわかる通り、テーパーランドの楔作用により油が積極的にテクスチャ部に導入され、動圧が発生しています。

評価試験
トルク評価試験
新仕様の回転用低トルクシールリング「TS-Ring」の耐久試験前後のトルク評価試験を実施しました。「TS-Ring」は従来仕様と比べ、トルクを最大80%低減し、耐久試験前後でも低トルクを維持します。

※評価条件(径サイズ:Φ65、PPS材)
トルク発生メカニズム
シールリングのシール箇所は、側面、カット部、外周面の3箇所あります。溝底および側面から作用する油圧によって、ハウジング内周面およびシャフト溝側面へ圧着することで、シール面軸側面とのしゅう動により、しゅう動トルクが発生します。このしゅう動トルクは、シールリング要因の摩擦係数と受圧面積を小さくすることで、トルクを下げることができます。

高性能シールリングの開発
NOKでは、低トルク性能を保持しつつ、さらに低リーク化したシールリングの開発を進めています。

採用イメージ
- 自動変速機などのAT/CVT用油圧保持部品
製品ラインアップ
用途に合わせた5つの「Le-μ’s」(レミューズ)
低フリクション技術を活かしたシール製品を紹介します。
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低フリクションオイルシール
シール機能を維持したまま、最大70%フリクションを低減
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回転用低トルクシールリング
テクスチャを付与して、最大80%のトルクを低減
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薄膜表面処理Oリング
数ミクロンのコーティングで組み付け時の作業性を向上
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回転・揺動用ロッドシール
特殊樹脂を使用し、耐圧性の向上と低フリクションを実現
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CNT添加Ovalリング
油圧回路内の高圧往復動環境下でシール性の維持と低フリクションを実現