リップパッキン(往復動用シール)
リップパッキンの種類
下表に油圧シリンダ用パッキンの種類と特長を示します。
油圧シリンダ用パッキン(ピストンシール専用)

油圧シリンダ用パッキン(ロッドシール専用)

油圧シリンダ用パッキン(ピストン・ロッドシール両用)

油圧シリンダ用ダストシール

油圧シリンダ用関連製品

リップパッキンの材料と作動油
パッキン材料の選定にはシール対象流体との適合性が重要です。 作動油との適合性を下表に示します。
鉱物性作動油は、一般的にはどのパッキン材料とも適合性に問題はありませんが、油性改良の目的で極圧添加剤などが入っている場合には、ゴム材料試験を実施してゴム物性への影響を確認する必要があります。
パッキン材料の使用可能作動油(旧JIS B 8354)

パッキンの選定方法
NOKでは用途に合わせ、豊富なバリエーションを用意しておりますので、型式選定の際には以下の選定フローをご参照頂くか、最寄の営業所にご連絡下さい。
・パッキンの選定フロー(カタログより抜粋)
パッキン使用上の注意事項
相手材料および仕上げ方法
相手しゅう動材料は、特殊な場合を除いて旧JIS B 8354に規定されているものを使用してください。
以下にパッキン相手しゅう動材と仕上げ方法について記載します。
従来は仕上げ粗さの大きさだけが論じられてきましたが、粗さの形態はさまざまです。大きさが推奨値に入っていても、ピークの鋭い波形では異常摩耗を発生させるケースがあります。
1994年に改定されたJIS 0601-1994「表面粗さの定義と表示」では、表面粗さの形態を定量的に表示する「負荷長さ率tp」が追加されておりますので参考として下さい。

硬質クロムめっき厚さ(JFPS-1022)
油圧シリンダには硬質クロムめっきが多用されていますが、目的は防錆用、機械的強度向上等があげられます。
硬質クロムメッキ厚さはパッキンの種類により規定されるのでなく、使用環境、使用条件などにより定められるのが一般的です。
JFPS-1022 「日本フルードパワー工業会規格:製鉄機械(重機械)用油圧シリンダ」では硬質クロムめっきの厚さを作動油の種類で下表のように規定しています。

はみ出しすきまと軸受すきま
パッキンのはみ出しすきまと軸受すきまはパッキンの性能と密接な関係にあります。軸受すきまについては油圧機器の性能に影響が出ない範囲で可能な限り小さくする方が好ましく、はみ出しすきまについては参考としてシール材料のはみだし限界線図を以下に示します。

※g はロッドの偏心がない場合、(直径すきま)/2 で片側すきまを示します。g maxはロッドの偏心を含んだ g の最大値です。
※バックアップリングのはみ出し量は温度、圧力、時間などによって変動しますので高温、高圧で長時間ご使用になる場合にはNOKにご相談ください。
バックアップリング
パッキンのはみ出しを防止するためには合成樹脂製のバックアップリングを併用するのが一般的です。バックアップリングの使用に際しては以下の内容にご注意下さい。
① ポリアミド樹脂は、吸水・乾燥によって寸法が変化するので、装着製の観点から、大径のものは1ヶ所バイアスカットする必要があります。エンドレスの場合には、湿度の透過を抑えるために特殊包装に乾燥剤を同梱することで、吸水による寸法変化を防止します。
② パッキン、バックアップリングともに加圧により変形を生じますが、その変形量・変形速 バックアップリング 度は、パッキン、バックアップリング各材料毎に異なります。パッキンとバックアップリングの変形速度に大きな隔たりがあるとバックアップリングがパッキンを保護するという所期の目的が達成できません。
そこで軟質のパッキン用ゴム材料(ニトリルゴム、ふっ素ゴム)には軟質のバックアップリング用樹脂材料(PTFE)との組合せが望ましく、高圧域での使用に際してはPTFEと、より硬質なバックアップリング材料であるポリアミド樹脂の2枚を組み合わせて使用します。