パッキン(往復動シール)
パッキンは、油圧シリンダなどの往復運動する部分に使用されるシール部品です。 ピストンやロッドなどのしゅう動部において、作動油などの流体の漏れを防ぐとともに、外部からの異物の侵入を抑制します。NOKでは、長年にわたるシール技術と材料技術の蓄積をもとに、使用条件や用途に応じたさまざまなパッキンをラインアップしています。油圧シリンダのピストンシール、ロッドシール、ダストシールなど、用途に適したシールを選定することで、油圧機器の安定した性能と長寿命化に貢献します。
リップパッキンとは
リップパッキンは、ピストンやロッドの往復運動に追従しながら、相手面にリップを密着させることで、流体の漏れを防ぎます。NOKでは、使用する部位や条件に応じて、Uパッキン、Cパッキン(Lパッキン)など、さまざまなリップパッキンをラインアップしています。また、ピストンシール、ロッドシール、ピストン・ロッドシール両用など、用途に適した製品を選定することで、油圧シリンダの安定した性能と長寿命化に貢献します。
Uパッキン
Uパッキンは、断面がU字形のリップパッキンで、圧力を受けることでシールリップが相手面に密着し、作動油などの流体を密封します。ピストンシールやロッドシールなど、構造や材料の異なるさまざまな製品があります。
Cパッキン(Lパッキン)
Cパッキンは、断面がL字形のリップパッキンで、L字形の断面形状を活かしてシールリップを相手面に密着させ、作動油などの流体を密封します。
油圧用パッキン 製品ページはこちら組合せシールとは
組合せシールは、複数の部材を組み合わせて使用する構造のシールです。異なる材料や形状の部材を組み合わせることで、それぞれの特長を活かし、密封性能や摩擦・摩耗特性など、使用条件に応じたシール性能を発揮します。
油圧用パッキン 製品ページはこちらパッキンの種類
パッキンは、使用条件や用途に応じて適切な製品を選定する必要があります。
油圧シリンダ用パッキン(ピストンシール専用)
油圧シリンダのピストン部には、使用圧力、速度、温度、作動油、シリンダ構造などの条件に応じて、さまざまなタイプのパッキンが使用されます。NOKでは、代表的なピストンシール専用パッキンとして、Uパッキン、組合せシール、Cパッキンをラインアップしています。それぞれのパッキンは、シール構造や使用材料、密封性能、摩擦特性、取付方法などに違いがあります。

油圧シリンダ用パッキン(ロッドシール専用)
油圧シリンダのロッド部には、シリンダ内部の作動油が外部へ漏れるのを防ぐため、ロッドの往復運動に対応したパッキンが使用されます。NOKでは、代表的なロッドシール専用パッキンとして、Uパッキン、バッファリングをラインアップしています。Uパッキンは、ロッドのしゅう動面に密着して作動油を密封する役割を担います。バッファリングは、主シールであるロッドシールの前段に配置し、油圧シリンダ内部から伝わる高圧や圧力変動を緩衝することで、ロッドシールの保護やシール性能の安定化に寄与します。それぞれの製品は、シール構造や使用材料、密封性能、摩擦・摩耗特性、取付方法などに違いがあります。

油圧シリンダ用パッキン(ピストン・ロッドシール両用)
油圧シリンダのピストン部とロッド部には、それぞれの使用条件やシリンダ構造に応じたパッキンが使用されます。NOKでは、ピストン部とロッド部の両方に使用できるピストン・ロッドシール両用パッキンとして、Uパッキンをラインアップしています。Uパッキンは、シールリップが相手面に密着することで、ピストン部・ロッド部の往復運動に対応し、作動油を密封します。使用圧力、速度、温度、作動油などの使用条件に応じて、適切な製品を選定することが重要です。

油圧シリンダ用ダストシール
油圧シリンダのロッド部には、作動油の漏れを防ぐロッドシールに加えて、外部から水、ほこり、土砂などの異物がシリンダ内部へ侵入するのを防ぐダストシールが使用されます。NOKでは、使用環境やシリンダ構造などの条件に応じた、さまざまなタイプのダストシールをラインアップしています。それぞれのダストシールは、シール構造や使用材料、異物侵入防止性能、摩擦・摩耗特性、取付方法などに違いがあります。

油圧シリンダ用関連製品
油圧シリンダでは、ピストンシールやロッドシールなどのパッキンに加えて、シール性能の安定化やシリンダ内部への異物侵入防止などを目的として、さまざまな関連製品が使用されます。NOKでは、油圧シリンダ用の関連製品として、ウエアリング、「コンタミシール」をラインアップしています。ウエアリングは、ピストンやロッドの偏心を抑制し動きをガイドするとともに、シリンダ内部の金属部品同士の直接接触を防ぎ、パッキンやシリンダ部品を保護する役割を担います。「コンタミシール」は、シリンダ内部の油中異物によるパッキンのきずつきを防止するために使用され、油圧シリンダのシール性能や耐久性の維持に貢献します。それぞれの製品は、使用箇所や構造、使用材料、求められる性能などに違いがあります。

リップパッキンの材料と作動油
パッキン材料の選定にはシール対象流体との適合性が重要です。 作動油との適合性を下表に示します。
鉱物性作動油は、一般的にはどのパッキン材料とも適合性に問題はありませんが、油性改良の目的で極圧添加剤などが入っている場合には、ゴム材料試験を実施してゴム物性への影響を確認する必要があります。
パッキン材料の使用可能作動油(旧JIS B 8354)

パッキンの選定方法
油圧用パッキンは、使用する場所や圧力、温度、速度、作動油などの使用条件によって、適した製品が異なります。パッキンの性能を十分に発揮させ、作動油の漏れや異常摩耗などを防ぐためには、使用条件に適したパッキンを選定することが重要です。NOKでは、Uパッキン、Vパッキン、Cパッキン(Lパッキン)、組合せシールなど、さまざまな用途や使用条件に応じた各種の密封装置を効果的に組み合わせた使用方法をおすすめしていますので、型式選定の際には以下の選定フローをご参照頂くか、最寄の営業所にご連絡下さい。
・パッキンの選定フロー(カタログより抜粋)
1. 使用する場所を確認する
まず、パッキンを使用する場所を確認します。油圧シリンダ用パッキンは、主に以下の用途に分類されます。
- ピストンシール:ピストン部で作動油を密封します。
- ロッドシール:ロッド部で作動油が外部へ漏れるのを防ぎます。
- ピストン・ロッドシール両用:ピストン部とロッド部の両方に使用できます。
- ダストシール:外部から水、ほこり、土砂などの異物がシリンダ内部へ侵入するのを防ぎます。
まず使用箇所を明確にすることで、選定するパッキンの種類を絞り込むことができます。
2. 使用条件を確認する
次に、油圧シリンダの使用条件を確認します。特に重要な条件は、以下の項目です。
- 使用圧力
- 使用温度
- ピストン、ロッド速度
- 作動油、使用流体
- 使用環境
- シリンダの構造
同じ場所に使用するパッキンでも、圧力や温度、速度などの条件によって適した製品が異なります。特に高圧・高速・高温などの厳しい条件では、パッキンの材質や構造だけでなく、はみ出しすきまや相手しゅう動面なども含めて検討する必要があります。
3. 作動油とパッキン材料の適合性を確認する
パッキン材料を選定する際には、使用する作動油との適合性を確認することが重要です。作動油の種類によっては、パッキン材料の膨潤、硬化、軟化など、シール性能に影響する物性変化が生じる場合があります。一般的な鉱物性作動油では多くのパッキン材料が使用できますが、極圧添加剤などを含む場合には、ゴム材料への影響を確認する必要があります。使用する作動油がお決まりの場合は、パッキン材料と作動油の適合表を確認し、適切な材料を選定して下さい。
4. 相手部品の材質・表面状態を確認する
パッキンは、ロッドやシリンダなどの相手部品としゅう動するため、相手部品の材質や表面仕上げもパッキンの性能・寿命に影響します。特にロッドシールでは、ロッドの材質、硬度、表面粗さ、表面形状などを確認することが重要です。表面粗さは数値だけでなく、表面の凹凸形状によってもパッキンの摩耗状態が変わる場合があります。そのため、パッキンだけでなく、パッキンと接触する相手しゅう動面を含めてシールシステムとして選定することが重要です。
5. すきま・取付条件を確認する
パッキンの選定では、取付溝の寸法だけでなく、パッキンが使用されるすきまについても確認する必要があります。特に高圧条件では、パッキンがすきまへ押し出されるはみ出しが発生する可能性があります。そのため、はみ出しすきまや軸受すきま、ロッドの偏心などを考慮して、適切なパッキンを選定することが重要です。使用条件によっては、バックアップリングなどの補助部品を併用することで、パッキンのはみ出しを防止します。
6. 使用条件に適したパッキンを選定する
ここまで確認した使用箇所、圧力、温度、速度、作動油、相手部品、すきまなどの条件をもとに、用途に適したパッキンを選定します。NOKでは、Uパッキン、Cパッキン(Lパッキン)、組合せシールなど、さまざまなタイプのパッキンをラインアップしています。使用場所だけで製品を決めるのではなく、実際の使用条件を総合的に確認することが、適切なパッキン選定につながります。
油圧用パッキン 製品ページはこちらパッキン使用上の注意事項
相手材料および仕上げ方法
相手しゅう動材料は、特殊な場合を除いて旧JIS B 8354に規定されているものを使用してください。
以下にパッキン相手しゅう動材と仕上げ方法について記載します。
従来は仕上げ粗さの大きさだけが論じられてきましたが、粗さの形態はさまざまです。大きさが推奨値に入っていても、ピークの鋭い波形では異常摩耗を発生させるケースがあります。
1994年に改定されたJIS 0601-1994「表面粗さの定義と表示」では、表面粗さの形態を定量的に表示する「負荷長さ率tp」が追加されておりますので参考として下さい。

硬質クロムめっき厚さ(JFPS-1022)
油圧シリンダには硬質クロムめっきが多用されていますが、目的は防錆用、機械的強度向上等があげられます。
硬質クロムメッキ厚さはパッキンの種類により規定されるのでなく、使用環境、使用条件などにより定められるのが一般的です。
JFPS-1022 「日本フルードパワー工業会規格:製鉄機械(重機械)用油圧シリンダ」では硬質クロムめっきの厚さを作動油の種類で下表のように規定しています。

はみ出しすきまと軸受すきま
パッキンのはみ出しすきまと軸受すきまはパッキンの性能と密接な関係にあります。軸受すきまについては油圧機器の性能に影響が出ない範囲で可能な限り小さくする方が好ましく、はみ出しすきまについては参考としてシール材料のはみだし限界線図を以下に示します。

※g はロッドの偏心がない場合、(直径すきま)/2 で片側すきまを示します。g maxはロッドの偏心を含んだ g の最大値です。
※バックアップリングのはみ出し量は温度、圧力、時間などによって変動しますので高温、高圧で長時間ご使用になる場合にはNOKにご相談ください。
バックアップリング
パッキンのはみ出しを防止するためには合成樹脂製のバックアップリングを併用するのが一般的です。バックアップリングの使用に際しては以下の内容にご注意下さい。
① ポリアミド樹脂は、吸水・乾燥によって寸法が変化するので、装着製の観点から、大径のものは1ヶ所バイアスカットする必要があります。エンドレスの場合には、湿度の透過を抑えるために特殊包装に乾燥剤を同梱することで、吸水による寸法変化を防止します。
② パッキン、バックアップリングともに加圧により変形を生じますが、その変形量・変形速 バックアップリング 度は、パッキン、バックアップリング各材料毎に異なります。パッキンとバックアップリングの変形速度に大きな隔たりがあるとバックアップリングがパッキンを保護するという所期の目的が達成できません。
そこで軟質のパッキン用ゴム材料(ニトリルゴム、ふっ素ゴム)には軟質のバックアップリング用樹脂材料(PTFE)との組合せが望ましく、高圧域での使用に際してはPTFEと、より硬質なバックアップリング材料であるポリアミド樹脂の2枚を組み合わせて使用します。